コラム 非競争的攻撃・・・オマケによって受ける攻撃

このコラムを最初に書いたのは2010年9月。
携帯という言葉はほとんど使われなくなり、スマホが主流となった2017年5月現在、携帯はガラケイと言われるようになりました。
最新の言葉で着飾っても、戦略をグラフ化すると「戦略の形」そのものは、昔も、今も、将来も似たような形の戦略が出てくるということが分かります。
携帯→スマホのように、新しい言葉に改訂しようとも思いましたが、競争の本質は、変わりませんのでそのままにしておきます。
従って、出てくる言葉はレトロです。

 

携帯が腕時計を攻撃しているといったのですが、携帯は別に腕時計と競争するつもりも無く、腕時計を積極的に攻撃している訳でもありません。
シャープ、ソニー、松下などの携帯機器メーカーは、セイコー、シチズンあるいは香港(中国)などの時計メーカーと競争するつもりはさらさらないのです。
携帯の当初の機能は電話機器だけでしたが、あるメーカーが時計の機能を携帯に付けましたので他の会社もこれに追随しました。
携帯機器メーカー同士の競争の結果、電話機能という本来の機能の他にいろいろな附属機能を持つようになったのです。
携帯にとって時計は附属機能なのですが、時計の機能をつけていなければ携帯での競争に負けてしまうのです。
携帯はその付属的な機能の多様化によって、使いきりカメラ、小型の電卓、目覚まし時計など、いろいろなものを攻撃しています。

現在、我が家でオマケが他の製品を攻撃しているものを挙げますと・・・
パソコン
我が家には、CDプレーヤーはありません。
以前はあったのですが、どこかにいってしまいました。
オーディオ・ステレオもありません。
全てパソコンで代用しています。
デルやヒューレットパッカードは音響機器メーカーを攻撃していますし、たまに、メールやスカイプも使用しますので、郵便局やNTTも攻撃しています。

形状安定シャツ
家内が買ってくるワイシャツは全て形状安定シャツである。オーダー・メイドのワイシャツもあるにはあるが、めったに着ない。形状安定シャツはクリーニング店を攻撃している。

ウォシュレット
ウォシュレットを(インターネットで検索してみますと、ウィル・スミスが自宅のトイレに取り付けた、ですとか、マドンナが絶賛したとか、海外ではまだ普及していないようですが、日本ではかなり普及したようです。
ウォシュレットのついていないトイレでは用が足せないという方も増えているのではないでしょうか?
トイレット・ペーパーをほとんど使いませんので、ウォシュレットは製紙会社を攻撃しているかもしれません。

攻撃の強さはオマケが他の本質的機能にどれだけ近づくかによって決まります。
また、オマケによる攻撃はときによっては競争的である場合もあります。

オマケによって滅ぼされたネット・スケイプ
マイクロソフト・ウィンドウズを買うと、インターネット・エクスプローラーがオマケでついてきます。
インターネットとはコンピュータ同士の大小さまざまのネットワークが接続されて、国境を越えて、世界規模で構築された通信網のことです。
インターネットとは厳密には、世界中に張り巡らされた、パソコンと通信ケーブルのみを指します。
このインターネット上にホームページ(webページ)を立ち上げて、閲覧できるようにするには、閲覧ソフトが必要で、これをwebブラウザ(単にブラウザ)といいます。
インターネット初期のブラウザはネットスケープ(・コミュニケーションズ)社のネットスケープ・ナビゲゲーターが主流で、私も使用していました(今とは比較にならないスピードでした)。
ブラウザといえばネットスケープだったのです。
一時は90%近いシャアを占め、1995年8月にはNASDAQに上場までしています。
ここまではよかったのですが、ネットスケープはマイクロソフトに正面から喧嘩を売ってしまったのです。

アンドリーセンがさまざまな発言やマイクロソフト社に対する態度で見せた愚かさは、筆舌に尽くしがたい。いわば彼は、腹ペコの虎の檻に入り、自分の尻にサーロインステーキを貼り付け、腰を振って挑発していたようなものだ。檻を出るときに彼の尻がなくなっていても何ら不思議ではない。
(アホでマヌケな米国ハイテク企業 メリル・R・チャップマン著 インプレス2004年5月 p303)
・・・という訳でウィンドウズ97からインターネット・エクスプローラーというブラウザを標準でバインドしてしまいました。
つまりブラウザをOSのオマケにしてしまったのです。
ネットスケープ社は業績が低迷し、1998年AOL社に買収されています。

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戦略論の統合

競争曲線(ケースの統合)

第1章 競争曲線

第2章 安定の理論

第3章 新兵器の理論

第4章 改善・改良の理論

第5章 退化の理論

第6章 競争曲線を実際に使ってみる

経営マンダラ(マンダラチャート)

戦争の理論と企業間競争

その他