補足・・・ポジショニング・アプローチと資源アプローチの統合の図説

ポジショニング・アプローチと資源アプローチの違いはネットワークの「構造」と「ノード(結び目)」の関係で捉えると理解しやすい。
「構造」と「ノード(結び目)」が対立するなんて考えるのは経営学者だけで、両者は統合的な一つの事象の、異なる側面を捉えたものである・・・ということがわかります。
セレクション・ネットワークで示すとポジショニング・アプローチと資源アプローチの関係を、一つの図を使って指をさして視覚的に説明できます。

 

小野さんの指摘によって、ポジショニング・アプローチと資源アプローチの関係の図説――重要な説明です――が抜けているということがわかりましたので捕捉します。

補足ではありますが、最重要の記述でありました。

 

ポジショニング・アプローチと資源アプローチ、この二つが戦略論の2大潮流です。
セレクション・ネットワーク・システム(私はこれをセレクションフローと呼ぶこともあります)との関連でのべてみましょう。
なお、説明がこのホームページの他の箇所と重複するかもしれません。

 

構造不況という言葉があります。
これは景気循環というようなものではなく、産業構造や需給構造が経済環境の変化に立ち遅れたことによる、その産業なり業界を見舞う長期的不況のことです。
隣の会社は業績がいいのに、業種が違うという理由でうちの会社は業績が悪い、ということは実際にあることですね。
「構造不況業種」で検索しましたら、鉄鋼業、石炭業、造船業など、結構出てきます。
「昔はよかったのに」とボヤいてみても、構造が変化してしまっています。

このことは、セレクション・ネットワーク・システムの(構造の)違いによって、企業の収益性に差があるということ意味しています。

ポジショニング・アプローチの要諦は、第一義的には「収益性の高いセレクション・ネットワーク・システム」を選ぶということです。
そして、第二義的には、セレクション・ネットワークの中で、他社と異なった位置をとることによって、(他社よりも)収益を上げるということです。
いずれにしても、ポジショニング・アプローチはネットワークの「構造」に着目したものです。

これに対して、資源アプローチというのは、利益の源泉をネットワークの構造の違いに求めるのではなく、自社のもつ資源に求めるというものです。

ところで、自社というのはネットワークのノード(結び目)に関するものです。



図に赤字で書いてありますように、ネットワークの構造とノードは対立するものではありません。
網と網の結び目が対立しますか?ノードがなくなれば構造が消え、そもそもネットワークはノードを結んだものなのですから。

従来の構造論と資源論の争い・・・・つまりポジショニング・アプローチと資源アプローチの対立は、2者択一的なもので、あちらを立てればこちらが立たずというものでした。

この対立は、セレクション・ネットワークという枠組みの中での「構造」と「ノード」と「どちらを重視するか」という対立であることがわかります。

従来、この枠組みが考えられていませんでした。
ネットワークの「構造」が「ノード」を攻撃すれば、「構造」が消滅しますよね。
もちろん「ノード」が「構造」を攻撃すれば、「ノード」自身が消えてなくなるでしょう。

どちらも、同じ現象(しかもこの現象は自然現象です)を異なった側面から見ているということです。

 

・マルチプレックス(多重)・アプローチ
ふつう、経営者は(もしできるならば)儲かる業界に進出したいと考える一方で、自社の持つ資源も考えたいと、欲張って両方同時に考えますよね。
むしろその方が自然でしょう。
実際に「できる」経営者は、理論の対立など気にせずに両方追求しています。
セレクション・ネットワーク・システムという考えを導入することによって、ポジショニング・アプローチ、資源アプローチのそれぞれが、ネットワークのどのような特徴を説明しているかということを、理論の矛盾や対立などといったことに頭を悩ませることなく、「同時」に、「多重的」に考えることができるのです。

実際に、起業家は経営戦略論的には異質の戦略を多重的に採用します。
同じ事例なのに、ポジショニング・アプローチの成功事例、資源アプローチの成功事例と、成功事例の奪い合いがみられるのがよい例でしょう。
つまり、戦略論の常識に反して、ポジショニング・アプローチと資源アプローチを「同時に重視」した戦略の形成が可能になるのです。
マルチプレックス(多重)・アプローチとでも呼んだらよいのでしょうか。

いくつかの経営戦略論をあわせ持って実際の戦略を組み立てるという方が経営者の普通の感覚です。
「星野リゾートの教科書」なんか経営戦略論のオンパレードで、マルチプレックス・アプローチなんでしょう。
経営者は経営戦略論の垣根などあまり気にしません。

 

話のついでに・・・
このほか、ミンツバーグは「戦略サファリ」の中で、プランニング・スクールその他を挙げていますが、ほとんどがセレクション・システムのもつ部分的特徴と関連してきます。

例えばプランニング・スクール。
セレクション・システムにカオス的側面がということは、このシステムが自生的秩序であるということに根差しています。

カオスを発見したのは気象学者のエドワード・ローレンツです。
カオス的な動きをする気象は長期的には予測不能ですが、短期的には予測可能です。
どの程度が短期なのか・・・私はこの短期の期間をリアプノフ時間と呼んでいますが・・・1年の場合もあれば、10年程度になる場合もあります。
リアプノフ時間程度であれば、プランニング・スクールは十分に意味のあるものであり、むしろ戦略を計画べきでしょう。
朝の天気予報で「雨」の予報が出ていましたら、傘を持って出た方が無難なのと同じです。

経営戦略論の展開される領域の一つ上のシステム(系)を定義すれば、上位システムと関連づけることにより、将来どのような経営戦略論が出てきても、未来永劫、統合することができます。

上位システムと下位システムの関係がそうなっているからです。

コメントする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

戦略論の統合

第1章 一体どのような競争をしているのか

第2章 S・N・Sによる戦略論の統合

第3章 変異ベクトルによる戦略論の統合

コラム集

競争曲線(ケースの統合)

経営マンダラ(マンダラチャート)

戦争の理論と企業間競争

その他