模倣“も”素晴らしい コラム 本の紹介

中小企業の経営者を対象にした模倣戦略の入門編として書いています。

コラム的に模倣戦略に関する本を紹介します。
改めて模倣戦略に関する本を列挙してみますと、模倣戦略が経営戦略論で認知されてきているのが見て取れます。
そもそも、「模倣」や模倣から発展した「類推」というのは、人間の自然の行動ですので、戦略論が模倣を取り扱うというのは「当然」と考えています。

ベンチマーキング ロバート・C・キャンプ著 田尻正滋訳 PHP研究所 1995年10月
日米貿易戦争で苦境に立った米国が、日本企業の生産手法を模倣するためにベンチマークという手法を考えた。ベンチマークという用語を覚えればよいでしょう。

ベンチマーキング入門 高梨智弘著 生産性出版 2006年5月
「ベンチマーキング」をやや簡単に書いてある。やはり、ベンチマークという用語を覚えればいいです。
スチーブ・ジョブスがゼロックス(ベンチマークを開発した企業)から、マッキントッシュのベースとなるアイコンやマウスをベンチマーク(模倣)はしたが、ベンチマークの手法通りに模倣した訳ではありません。
ベンチマークはイノベーション(新兵器の開発)系の戦略論から批判の的になっているが気にしなくていいです。

先発優位・後発優位の競争戦略 山田英夫 遠藤真著 生産性出版1998年6月
題名通り、後発が先発を追い越す場合もあるということ。
もちろん後発は先発をベンチマーク。

創造的模倣戦略 S.Pシュナース著 恩蔵直人 坂の友昭 島村和恵訳 有斐閣 1996年9月
副題が「先発ブランドを超えた後発者たち」。副題からも後発優位の戦略に的を絞っているのが分かります。
模倣を新兵器の開発に転換するという発想に立っています。
推薦します。

アイデアをいただいてしまえ! スチーブ・リプキン フレイザー・サイテル著 ルディー和子訳 ダイヤモンド社 2003年3月
「優れたアイデアがあるのに、ゼロから新たに考え出す必要がありますか?」・・・ないと思います。
これも模倣を新兵器開発に結び付けています。
推薦します。

アナロジー思考 細谷功著 東洋経済新報社 2011年8月
模倣の応用編。模倣というよりは類推。模倣には芸術的センス、直観が必要ですね。
推薦します。

コピーキャット オーディット・シェンガー著  井上達彦 遠藤真美訳 東洋経済新報社 2013年2月
進化論や最近の行動科学についても若干触れています。
事例が外国企業だらけですのでちょっと読みづらいかも・・・。

ミラーニューロンの発見 マルコ・イアコボーニ 塩原通緒訳 ハヤカワ新書 2009年5月
進化戦略研究会では企業における模倣戦略も「自然現象」と捉えていました。模倣戦略の周辺知識として「ものまね細胞」を知っておくのもいいでしょう。
特に、コピーキャットではミラーニューロンについて言及しています。
ミラーニューロンという言葉だけ覚えるだけでも良いでしょう。

セレンディピティ宮永博史著 祥伝社 2006年6月
偶然から素晴らしいアイデアを拾うのが、セレンディピティなのですが、偶然に模倣ネタを拾うということもあるのです。
模倣戦略は、ベンチマーク(計画的・意図的)とセレンディピティ(偶然出会った幸運)の、どこか中間にあると思っています。
「偶然何て戦略論の扱う範囲じゃない?」
偶然も企業の成功要因の一つで、戦略論でも取り上げられるようになってきています(資源アプローチ)。
推薦します。

久々に模倣に関する本を買いました。まだ読んでいませんが紹介してしまいます・・・

模倣の経営学 井上達彦著 日経BP社 2012年3月
副題が「偉大なる会社はマネから生まれる」です。読むのが楽しみ。

パクリジナルの技術 木下晃伸著 経済界新書
副題が「何をパクリ、どうオリジナルを生みだすのか」。(模倣ではなく)パクリですか・・・。本日現在、まだamazonから届いていません。

ヤバい経営学 フリーク・ヴァーミューレン著 本木隆一郎 山形佳史訳 東洋経済新報社
模倣の本ではないが模倣についても触れています。
「成功したければか、会社をそのままコピーしよう」(p243~246)だけ読んでもよいかもですね。
模倣の本ではないので、「皆がやらないから私もやらない」「皆がやるから私もやる」的な、模倣のマイナス面についても触れています・・・絶対の戦略理論なんかないのですね~