管理者が「指示が徹底されない」と嘆くのは、管理者自身が自分の出した指示を忘れてしまうということも、その一因です。
監査法人時代、私も中間管理職でしたので部下に様々な指示を出しましたが、出す指示が多すぎると、誰にどんな指示を出したか、忘れてしまいます。
そこで、当時流行のシステム手帳に付箋紙をペタペタと貼り付けて管理していました。
群馬県のある大工場での話
工場長が
「最近、歳のせいか、出した指示を忘れてしまうんですよ」
私は、当時最新流行のB5判程度のシステム手帳(最近は見なくなりましたね)を取り出して、
「こうやって管理しているんですよ すごい数になるでしょう?」
とシステム手帳尾自慢がてらに、付箋だらけのページを見せました。
「終わったものは、剥がして、こっちのページに貼り付けていって・・・新しい付箋を貼り付けて、その繰り返しですね」
付箋を指さして
「あ・・・こいつ まだやっていない」
と独り言。
何年か間をおいて、その工場に行きました。
当時は、まだのんきな時代。公認会計士が地方の監査に行くと、夜は必ず接待されていました。
酒の席で、工場長が
「先生、ありがとうございます」
「え?」
「先生のアイデア、パクらせていただいて、指示をメモに書いて、セロテープでボードに張るようにしました」
「そうですか」
「本人がそのメモを見ていきますので、同じことを2度も3度も言わなくてもよくなりましたよ」
「まあ、1年くらい実行されずに残ったメモ(に書かれた指示)は、そもそも実行しなくてもよいメモで、折を見て捨てることでしょうね」
マンダラチャートでも同様の現象が起こります・・・つまり出来ていない課題はいつまでも残ってしまうのです。
継続的な課題が残るのならばまだしも、単発の課題がいつまでも残るのは、ばつの悪いものですね。経営マンダラを会議で使用すると、何度も同じ指示を出すということが極端に少なくなります。
さらに、部下が自分のアイデアを経営マンダラに描いたりすると、命令さえもいらなくなります。